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秋の夜長にスコッチを

通りの端には枯れ葉が重なっている。それはもう色とりどり。もう紅葉も終わりだと思うと急にさみしくなる。秋はなんとなくいつもさみしくて、だから、一番好きな季節だ。
枯れ葉という名曲があるが、彼女に会うとその曲が浮ぶ。渋谷の老舗バーのオーナーでもあるその女性。秋 という意味の店名は、彼女の雰囲気にも合っている。
渋谷のセンター街は今でこそ若者の集まる場所だが、戦後まもなくは大人が寄り添ってお酒を楽しむ街だったそう。その場所にバーをオープンさせて50年。トリスバーから始まり、今では雰囲気のよい女性でも和める場所となった。
オーナーの彼女は20代にお店を開き、70代までカウンターに立ったそうだ。仕事が好きとおっしゃる。そしてなによりお酒を楽しむ時間が好きだと。「お酒が呑めるようになってよかったわ。世界が広がったもの」最初から呑めるわけではなかったため、苦労も多かったようだ。仕事の話になると厳しい気質が表れる。その厳格さと貫禄は彼女の魅力となっている。
また時々話す亡旦那さんとの思い出は愛情に溢れ、彼女がキュートに見える理由を知る。誰かを一生愛することは、本当に素敵なことだ。彼女から学んだ。
いつも笑顔で年下のわたしにまで気遣いを下さり、一時期たまに遊んでいた。最近会っていないのだがお元気だろうか。
秋の夜長とでも呼ぼうか、ひとりで深夜作業をしていると、颯爽と家を飛び出しタクシーを拾ってバーで美味しいカクテルを一杯だけ飲んで帰る なんて想像をする。もちろんそんなことを出来るたまではない。こそこそとお湯を湧かし珈琲をいれるのがセキノヤマである。
ああ、美味しい蒸留酒が飲みたいなあなどと、ひとりみの30代女は想像しちゃあいけないかもしれないが、わたしは密かに、いつか彼女のようにロックを手にしてさまになる女性になりたいとも思っている。
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by nemotyucac | 2005-11-15 03:11 | travel and stroll

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